>保管庫

 

「・・・いちばん酷い裏切りというのは、いったいどのようなものだとお思いになりますか」
「いちばん酷い裏切りか?」
「ええ」
「・・・背中から刺し殺されることだろうな」
「背中から、刺し殺されること、・・・」
「いちばん無防備な場所だろう?」
「・・・何故、“刺し殺されること”なのですか」
「銃ならば多少距離があっても殺せるが、刃物だとそうはいかないからな」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・どうした?」
「・・・それが、いちばん酷い裏切りですか?」
「私の中ではな。・・・そんなことを訊いて、どうしようというんだ?」
「いえ・・・、一度、訊いてみたかっただけです」
「・・・それだけか?」
「・・・それだけです」

>>>下士官ver.

[2000/07/02]