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餓鬼

 

 ざわりと闇が騒ぐ。
 研ぎ澄まされる意識に触れる、幾多の気配。
 吐き出される言葉はとうに形をなくし、意味さえ持たぬ呪詛と成り果てた。
 それでもなお縋るように絡みつく、数知れぬ死人の腕。
 その中に、異質な存在感を持つ腕が一対。
 それは、純粋な殺意にも似ていた。
 見覚えのある標(しるし)。
「殺せるものなら殺してみろ」

 

施餓鬼。>>>

標=孤戮闘の刺青。
2002/08/03 掲載。