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星今宵
「おい、桃」
えらく渋い顔でそう声をかけたのは正門から引き返してきた富樫だった。
「あいつらどうしようもないぜ」
「どうかしたのか」
「見りゃ解かる」
示されるままに正門を振り向いてみれば、数人掛かりで、田沢たちが持ちかえったものを運んでくる様子が見て取れた。
問題は、その運んでいるモノだ。
「・・・なんだありゃ?」
傍にいた伊達が呆れたように口を開く。
「どうするよ、桃」
「まあ、仕方ないだろうな」
「でもよ、どう見たって笹じゃねぇぜ、ありゃ」
「せっかく奴らが探してきたんだ。ないよりはマシさ」
「・・・ったく。言うと思ったぜ」
「ふふ・・・。悪いな、富樫」
「しょうがねぇなぁ、まったく」
まあ、飾りゃあ意外と見れるようになるかも知れねぇしな。と頭を掻く富樫の背中を一つ叩いてみせる。
さやさやと軒先にいろさまざまな短冊がたなびいていた。
かつての実物はこちら。
2002/07/14 掲載。