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黒月
「もし希めば、貴方の手で殺してくれますか」
問われた言葉の意味を一瞬つかみそこねる。
反射的に相手を見上げれば、ひどく淡い微笑が目についた。
答えを探すことが出来ず、ただその表情を見つめる。
夜風にざわつく木々。宙を舞う白い花弁。
肌寒さを感じるのは、果して夜気の所為だけだろうか。
「・・・貴官、」
「・・・だいぶ冷えてきましたね」
問い返そうとした言葉は、相手によって遮られる。
そして、ふと視線をずらした相手につられるように空を見れば。
そこには、皓く歪な月が、浮かんでいた。
人物設定はご自由に。[2000/03/13]