>保管庫

雲峰

 

 ここしばらくの天候と工事の所為で乾いた水路をのぞきこむ。
 十字に組まれた工事標が墓標のように立っていた。
 やかましく鳴き叫ぶ蝉。
「よくこんな日に出かける気になりますね」
 思わず、溜息混じりにそんな呟きが漏れた。
「別に今日じゃなくても良かったんでしょう? なんでわざわざこんな日を選んだんです?」
「雨の日だと工事も中止になるだろう?」
「そりゃそうですけど」
 じりじりと照りつける日差しが痛いとさえ感じられる。
「・・・氷菓子でも買おうか?」
「・・・見つかったら怒られますよ」
「大丈夫だよ」
 夏空の果てに雲の峰が高くそびえていた。

 

とりあえず佐官の誰か。[2002/07/04]