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砂沙

 

 砂除けの外套を翻す風。
 刻々と変わっていく風紋。
 延々と何処までも続くような砂の上、描かれるその模様をしばらく飽かずに眺める。
 二度と同じ姿を見せぬ光景は万華鏡を思わせた。
 ふと、胡座をかくようにして折っていた両足を投げ出し、砂の上に寝転がる。
 体重の移動にあわせ、彼の周囲で流れる無数の砂粒。
 自分の身体が、何処までも沈んでいくような錯覚。
 身動げば身動いだ分だけ、流れ、崩れる。

 見上げた空は鮮やかな色を湛えていた。

 

砂漠の国は加納中佐。[2000/10/18]