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街の片隅

 

「何時の間に店閉めたんだ、ここ」
「あ?」
「ほら、そこ」
「ああ、爺さんもだいぶ年だったしなぁ」

 同輩とそんな話をしたのは一月ほど前のこと。
 わずかそれだけの間に、そこはすっかり更地になってしまっていた。
 ふと気が付けば、通い慣れているはずの商店街さえもいつのまにかちらほらと店が入れ替わっており、はて、ここは以前、どんな店があっただろうと首を捻る羽目になる。
 いずれ今自分が記憶している景色もすっかり消え去っていくのだと、当たり前すぎる事実に行き当たるまだ春浅い午後。

 

富樫か虎丸あたり。[2005/03/22]