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日日是好日・野分

 

 窓の外で突風が吹き荒れる。
 そのたびに、いい加減年季の入った窓枠が大きく軋んだ。
 ばらばらと砂利だか小豆だかをぶちまけたような雨の音。
 拾物の割には結構有用なラジオからの音声も、どうしてもかき消されがちになる。
「大丈夫かよ、この建物」
「屋根が飛ぶようなこたぁねぇと思うが・・・」
「雨漏りはとっくにしてますよ」
「・・・食堂の屋根は直したよな、確か」
「二階の西の端の廊下です。とりあえず対処療法的な応急処置はしてきましたが」
「・・・点検かねて見回りでもしたほうがいいかもな。今ならまだ外にも出れるだろ」
「おぉい、道具箱もってこいや」
「ほら、伊達。あなたも行くんですよ」
「外と中と何手かに分かれるか」
「そうだな」
「おい、道具何組あるよ?」

 人寄りて、野分も宴の如くなり。

 

[2004/08/17]