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日日是好日・秋

 

 いいかげん朝晩も寒くなった頃。

「なあ」
 ぼそりと伊達が口を開く。
「なんだ?」
「なんで俺たちこんなところでこんなことやってるんだ?」
「じゃんけんで負けたからだろ」
「・・・そういう意味じゃねぇ・・・」
 思わず盛大なため息が漏れる。
「ああ、これはもう良さそうだな」
 その隣で桃は呑気にガラス棒でビーカーを掻き回した。
 ぐつぐつと湯の沸く音。
 即席で拵えたかまどの上には、これまた何処ぞの看板で即席に拵えた鉄板。
 更にその上には、何処から拾ってきたともしれないビーカーやら空き缶やら。
「伊達、笊」
「そこにあるだろうが、そこに」
「ああ、そこか」
 袖口を伸ばして指を庇いながらビーカーを持ち上げた桃が、その中身を笊へと空ける。
 ところどころに破けが目立つ笊の上に、ごろごろと五つばかりの栗が転がった。
「・・・栗ぐらい生で食えってんだ」
 ぼそりと伊達が悪態を重ねる。
「生だと不味いだろ」
「だからってこんなもんで茹でるか、普通」
「仕方ないだろう。他にないんだから」
「・・・鍋くらいどっかに落ちてねぇのかよ」
「だから、今、富樫たちが探しにいってるじゃないか。ああ、ほら、そっちも良さそうだぞ」
「・・・ったく」

 なんだかんだと今日も好い天気です。

 

一部実話。部活中に白衣を着て化学室で、ガスバーナーとビーカーを使って茹でて食ってました。[2003/10/07]