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花回向

 

 ざわりと重たげに揺れる花穂。
 逆しまに掲げた徳利から溢れる清酒を、苔生した土が貪欲に飲み干す。
 背負う刀の幽かな鍔鳴。
 一滴たりとも余すことなく注ぎ込めば、ふわりと漂う螢が二つ。
 霞む月影。
 彩るは、啾啾と吹く夜風に降り散る瓣の白。

 

御要望にお応えして赤石先輩。同じ場面、伊達なら不在を振り返らないだろうし、桃はもっと丁寧だろう、と。[2003/05/17]