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Moon Ride
名前はただの記号でしかない。
そこに意味はなく、必要ならば偽名も使う。
事実、今の名前も、何時、何所で拾ってきたものだったか。
気がつけば、随分と長い間、その名で呼ばれてきた。
「・・・・・・・・・」
立ち上る紫煙に月が煙る。
ちらちらとまとわりつく気配。
巻き込んでくれた元凶に心の中で毒吐きながら、ふと口元に苦笑が漏れる。
記号でしかない名前を、さも当然のように一己と結びつける連中の一人がそこにいた。
ゆるりと槍の穂先を揺らせて構えてみせる。
この程度で命を落とすほど腑抜けては無いが。
いずれどこかで尽きる命なら、この名前のまま、息絶えるのも悪くないと思った。
伊達。題名はSPIRAL LIFE。[2003/05/06]