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果ての晦日

 

 吐き出した息が白く煙る。
 頭上には仄かな月明かり。
 今宵は境の夜。彼岸でも此岸でもなく、此岸でも彼岸でもある。
 ゆるりとやわらかな弧を描き、ただよう蛍は幻。
 ゆっくりと響く百八つの鐘の音に月光は静かに両手を合わせた。

 

果ての晦日=大晦日。[2003/01/01]