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鳥葬

 

 凍てつく空気の中でようやく腐臭を放ちはじめた魚の群れに、数多の翼が飛来する。
 その多くは漆黒の鴉であったが、時折、鳶や鷹、鷺なども混ざるのが見て取れた。
 欄干に、水門に、電線に、鳴きもせず宿っては、川底に。
 土手から見下ろす、人の気配に頓着もせず。
 同じ光景が一週間ばかり繰り返されて、銀鱗はあらかた姿を消した。
 ばさりと低い羽ばたきとともに、傍らを黒い翼が抜けていく。
 それを追って見上げた先は、谷底の記憶よりも鈍い色をしていた。

 

谷底の記憶=孤戮闘。[2002/12/17]