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赤い花

 

 落ちていたのは、赤い花だった。
 点々と足跡のように続くそれを追いかけて、黒い道路を歩く。
 次第に広くなる間隔がどこまでも果てしなくなった頃、頭の上を新幹線が通り過ぎた。
 何処へ行こうとしていたのだろう。
 傾いた陽射しに、世界が赤く染まっていた。

 

[2002/05/14]