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屍体の夢

 

「紅葉の下には何が埋まっているんだろう」
「紅葉?」
「桜の下には屍体が埋まっているなら、紅葉の下にも何かが埋まっていてもおかしくないだろう?」
「そうかな?」
「そうだよ。秋には同じように葉を紅くして、冬には同じように葉を散らすんだから」
「それだと、公孫樹の下にも何か埋めなくちゃ不可ない」
「公孫樹は黄色いじゃないか」
「じゃあ、櫨、樗」
「何が埋まってる?」
「知らないよ。・・・・掘り起こしてみればいい、夜中にでも」
「それだとツマラナイ」
「じゃあどうするんだ」
「とりあえず、夢でも見ようよ」
「夢?」
「桜に血を吸われた屍体と、紅葉が埋めた《何か》の夢を」

 

[2001/11/20]