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至天(てんにいたる)
降り注ぐ日差し。
足元に届く影に、ふと顔を上げる。
「 」
あてもなく彷徨ったのは、見知らぬ街。
不意に、誰も知らない・・・・自分が『自分』ではない街へ行きたくなって、ぼんやりと列車に乗り込んだ。
逃げ出すわけではなかったけれど、ただなんとなく、あの場所にいるのが苦しかった。
誘われるように見知らぬ駅で降りて、真夏のきつい日差しのなかを歩きつづけた。
陽炎に白く歪んだ道は、永遠に続くように見えた。
「 」
影を追って、ゆっくりと顔を上げる。
それは、天にも届こうかという大きな向日葵。
人の背丈をはるかに超え、他の向日葵をはるかに越え。
己の重さに負け、頭を垂れることなく、ただひたすらに天を目指す、一株の向日葵。
「・・・・・・・・・・・・・・」
無意識に、唇から吐息がこぼれる。
ゆっくりと瞼を閉ざし、もう一度開く。
新しい空気を吸い込み、そして吐き出す。
ざわりと、風が身体の傍らを正面からすり抜けていった。
[2000/07/09]