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往來皆此路

 

 誰かに呼ばれた気がして、ふり返る。
 聞きなれた、懐かしい声。
 振り向いた先に広がるのはただ降り注ぐ花吹雪。
 花弁に埋もれたアスファルト。
 そうして鮮やかに思い出す、いつかの道程。
 何か口を開こうと、隣へと視線を向ければ、
 そこにいたはずの姿はもうどこにも見当たらなかった。

 

[2000/03/17]