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花束

 

 町の小さな花屋で小さな花束を買って。

「・・・・本当はちゃんと墓まで持っていけたら良いんだろうけどさ」
「やっぱり、ばっちゃん宛に送って供えてもらう?」
「花がもたねぇよ」

 夕闇に人影絶えた教会の静かな祭壇の前で。

「・・・・兄さん?」
「なんだよ?」
「ううん。別に」

 祈りと謝罪と感謝を込めて。

 僕らが殺した、名もなき人に花束を。

 

[2005/11/07]