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秘密

 

 抱くと言うよりは囲むように、背後から自分の胴へとまわされている腕を撫でてみる。
「・・・・・・・・」
 次いで、こつこつと指の背で叩いてみる。
「兄さん?」
 その音にアルフォンスが首を傾げる。
「ん?」
「どうしたの?」
「別に」
 呟くように答え、背後にある胴体に凭れかかる。
「・・・・じゃあ、何考えてるのさ」
「・・・・すげーくだらないっていうか、馬鹿なことだよ」
 そのまま、相手の二の腕に頬を押し当てて、瞼を閉じる。
 頭の中では、幾つかの理論と構成式が渦を巻く。
「ほんとに、くだらない・・・・」
 獣の遠吠えが、遠く、聞こえた。

 

[2004/01/13]