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ジャムトースト
焼いたというよりは温めたというべき食パン。
表面に塗られたバターは未だ溶けきらずに、ジャムと混ざって、気味の悪い赤紫色。
やや緩めに仕上げられたジャムの所々に残る果肉。
「どうしたの、兄さん」
不意に手を止めたエドワードにアルフォンスは問う。
「・・・・いや」
エドワードは、何でもないと首を振り、くたりとした食パンを口元に運ぶ。
そして耳を噛み千切る。
舌の上で広がる甘ったるいジャムの味。
それなのに、まるで臓腑を食べているようだと思った。
[2004/10/11]