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風の音がする
ひょうひょう、と風が鳴っている。
「もがり笛って言うんだよね、これ」
「・・・・ああ」
弟の言葉を、エドワードは短く肯定する。
季節や場所、風向きや風速によっては、どうしても避けられない現象。
それは鎧の身体という、アルフォンスの状態をまざまざと見せつける。
「・・・・ねぇ、兄さん」
うつむきがちに前を歩く兄に、アルフォンスが呼びかける。
「なんだよ」
「大丈夫だよ」
「・・・・なにが」
「そんなつもりで言ったんじゃないから」
「・・・・なんだよ、そんなつもりって」
「多分、兄さんが、今考えてることだよ」
ひょうひょう、と鎧の隙間で風の鳴る音がした。
もがりという言葉のもつ意味。[2004/03/29]