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意地

 

 痛む脇腹を庇うように、シーツの上で身体を丸める。
 痛むと言っても、別に、耐えられないようなものじゃない。
 昼間のアルとの組手。
 その一瞬、しまったと自分でも思った。
 アルの力を受け流し損ねて、変な風に身体に力が加わってしまったらしかった。
 これはその結果だ。
 もぞりと動いて姿勢を変える。
(やっぱ、痛ぇ・・・・)
 弟にばれないように、毛布の中で小さく息を吐き出す。
 自分との組手で痛めたなんて知れたら、きっと気にする。
(何日で取れるかな・・・・)
 それまでどうかばれませんように。
 いや、絶対にばらすもんか。
 それはささやかな兄貴の意地。

 

[2004/03/03]